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2011年度(第2回) 選考状況

2011年度(第2回) 選考状況

1次選考通過作品 順不同

1次選考通過作品 順不同
  • 『ぶらっくろ』れおなると
  • 『コピペ』黒沢春希(くろさわはるき)
  • 『ブルーライトストーリー』山畑真実子(やまはたまみこ)
  • 『かくれんぼ』今東昌之(こんどうまさゆき)
  • 『クイックドロウ』シュウ・ヤジマ
  • 『逆さ富士』田南壮平(たなみそうへい)
  • 『エリッサ様、前方に敵艦を発見しました』高橋忍(たかはししのぶ)
  • 『善は悪しく、悪は善し』秋津野純(あきつのじゅん)
  • 『モナリザの誉れ』大笹一(おおささかず)
  • 『日出づる国のアルタイル 日沈む国のアポカリプス』 木之下ひるね
  • 『ロシュリミット』中川裕之(なかがわひろゆき)
  • 『顔なし』冷泉正人(れいぜいまさと)
  • 『しばらく』坂本四郎(さかもとしろう)
  • 『COLORED』織久野恵章(おくのやすのり)
  • 『A3封筒マチ付き』並木飛暁(なみきたかあき)
  • 『つないだこの手を離さなければ』新島智史
  • 『HELP』kou
  • 『レイン』今葷倍正弥(いまぐんばいまさや)
  • 『被子植物へのアルゴリズム』上京ひさし(かみぎょうひさし)
  • 『覆面ゾンビ』ジェイソン・クストリッツァ

ぶらっくろ / れおなると

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選評
「GE賞」の求める「エンタメ」の範疇に収まるかが争点になりそうな作品。不器用で虐げられている少年の感情をキャラクター化し、その繊細な内面の葛藤を多彩な会話で補う恋愛小説。大きな問題をユニークなキャラクターたちの議論として考えていく哲学入門書とも、精神的に追い詰められた結果凶行にいたる昨今の犯罪者たちの心理小説とも、少年の成長物語とも読めて興味深い。

コピペ / 黒沢春希(くろさわはるき)

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選評
完成度が高く、楽しんで読めた。テンポが良いので、一気に読める。もう少し加筆すればもっと物語に深みも出そう。凝りすぎていないライトなSFで、人物の心理描写もしっかりできている。コピー&ペーストというPC用語から着想を得たであろうアイデアは、イメージしやすく身近でありながら斬新さを感じた。

ブルーライトストーリー / 山畑真実子(やまはたまみこ)

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選評
話自体は比較的に単純なのだが、おばあさんが語る昔話のような文体が絶妙。比喩ではなく本当に「現代の文芸」ではなく「中世の英雄叙事詩」のような作風。ただ、主人公が現実の人物というより伝説上の人物のように美化されすぎていて、「現代の文芸」だと思って読むと白々しく感じてしまうかも知れない。

かくれんぼ / 今東昌之(こんどうまさゆき)

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選評
少ない枚数、必要最低限の情報でコンパクトにまとめている。ミステリーの要素、暴力的な表現なども読み応えがあった。誘拐などの展開がややご都合主義的ではあるが、許容範囲内だろう。類似作品として『リアル鬼ごっこ』や『バトルロワイヤル』を彷彿させた。

クイックドロウ / シュウ・ヤジマ

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選評
翻訳物のハードボイルド・ミステリを彷彿させる。文章技術が非常に高く、構成はよく練られ、破綻がない。テンポの良い展開、次々に起こる事件やアクションの目まぐるしさには、ハリウッド映画を見ているような豪華さとワクワク感がある。難点としては、敵対組織が多く、すべての設定を一読で把握するのがやや困難であるということが挙げられる。

逆さ富士 / 田南壮平(たなみそうへい)

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選評
中世から近代日本史の膨大な知識が展開された壮大な話。謎解きに言葉遊びやこじつけ、正解と冗談が混じっていることもあり、どれが正解なのかと読み進めたくなる作品。人物配置も複雑だが、神話のような過去と事件に関わる過去、また日本とスウェーデンという地理的な幅もあり大変楽しめた。エピローグでファンタジー色が強くなってしまったことが残念。

エリッサ様、前方に敵艦を発見しました / 高橋忍(たかはししのぶ)

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選評
『スレイヤーズ』ノリの歴史ラノベ。『戦国BASARA』ならぬ『地中海BASARA』と呼びたくなる。全体的にテンポが良く、戦闘シーンはもちろん、その間にあるお話も楽しく読めた。登場するどのキャラクターも、非常にわかりやすく個性的で魅力があった。ちょっと詰め込みすぎな感があり、全体的にかなり駆け足。「GE賞」の求める「エンタメ」の範疇かどうか、一考すべき作品。

善は悪しく、悪は善し / 秋津野純(あきつのじゅん)

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選評
タイトル通り単純な善悪図式にはまらない複雑な人間模様で、先の展開を読ませない。いかにも江戸の町奴らしいべらんめえ調の文体もテンポがよい。没落した男の哀愁、主従の絆、親子の情などが安易に美化されない生臭さも含めてよく描き込まれている。ただし江戸時代の歌舞伎の裏事情なので当然ながら衆道まみれではある。

モナリザの誉れ / 大笹一(おおささかず)

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選評
劇場版アニメを見ているようなテンポの良い文章は好感が持てる。キャラクターの描き方や戦闘シーンの描写も大きな破綻がなく親しみやすい。文中にもあるが、映画 『ダイハード』のような王道のストーリー展開が、やや新鮮味に欠けるところもある。しかし、主人公・剣崎の活躍に新しいヒーローの誕生を感じた。ハッピーエンドの読後感もよい。

日出づる国のアルタイル 日沈む国のアポカリプス / 木之下ひるね

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選評
信長の軍勢が「三国志」の時代にタイムスリップしたら … … という一発アイデアだけで最後まで楽しめる作品に仕上がっている。問題があるとすればラストで「タイムスリップもの」としてのオチがついていないことだ。しっかり辻褄をあわせて、人物のすり替えを含むオチを丁寧に描くことが、この作品には合っている。

ロシュリミット / 中川裕之(なかがわひろゆき)

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選評
小洒落たハードボイルド。個性的、軽快な文章を読んでいるだけで楽しかった。ストレートに本作を名付けるなら「殺し屋が多すぎる」といったところか。殺す側、殺される側のキャラがきちんと立っている。特に主人公・東城愛は秀逸だ。このキャラを中心にした連作シリーズも可能に見える。

顔なし / 冷泉正人(れいぜいまさと)

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選評
意外にありそうな話で怖い。「産みの親より育ての親」という言葉のように、誘拐犯によって非人間的に育てられ、歪んだ性格にならざるをえなかった陽介が悲劇的。産みの親にとっては子との記念すべき再会が、じつは悲劇の始まりだったという恐ろしさ。産みの親目線の文章が読みやすく、悲劇だけれども読み終わった時には、何故か納得というようなスッキリした気分になれた。

しばらく / 坂本四郎(さかもとしろう)

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選評
おそらくエヴァ世代による伝統的な純文学の系譜をひく私小説。静かな悲しみを秘めた秀作である。仮にこの作品が一種の私小説ではなく、作者の完全な創作であったとしても、それならそれですばらしい才能だ。純文学であるから商業的には難しいかもしれないが、もしこれをネットで流してみたら熱狂的な支持を集める予感がする。

COLORED / 織久野恵章(おくのやすのり)

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選評
冒頭が安いビジネス書のようで読む気が削がれるが、色を操ることができる能力者同士による色の染め合いバトルは意外にビジュアルイメージを喚起し、迫力がある。タイトルが「COLOR」と「RED」をかけあわせたことが、中盤で読者にはわかるはずだ。ワールドワイドなエンタメとしては弱いが、面白い話と読み進められる構成とストーリーテリング能力はあると評価した。

A3封筒マチ付き / 並木飛暁(なみきたかあき) 

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選評
筒井康隆作品を彷彿とさせるスラップスティック・コメディ。自分たちの容姿を気にする女子高生たちが、流行というだけで特徴のない被り物〈封筒頭〉を受け入れていくさま、また個性とのせめぎあいが、コミカルながら悲哀も感じさせる軽妙な文章で書きだされていて好感触。コミカルな描写で風景が目に浮かぶような、楽しい作品だった。

つないだこの手を離さなければ / 新島智史(にいじまさとし)

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選評
幽霊との恋。使い古された主題だが、この物語には、現代の息吹が感じられる。しっかり書けている。完成度は高い。すらすら読もうと思えばそうできる。しかし立ち止まってみればそれなりの感慨も湧く。ライトノベルの軽快な流れに、古今の箴言を紛れ込ませている。感心したのは登場人物の造形にまったく手を抜いたところがないという点だ。

HELP / kou

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選評
映像作品で言うとタランティーノ風。構成力と描写力が非常に高く、パズルのように断片的伏線を積み上げて意外な全体像が浮かびあがるストーリー構造。会話のノリが軽くテンポがいい。殺し屋が主人公格で一見乾いたブラックユーモア風味と思わせつつ、結果的には深い人間味を感じさせる。終盤だけはいささか展開が急ぎすぎで、少し安易な雰囲気。

レイン / 今葷倍正弥(いまぐんばいまさや)

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選評
会話もストーリーもキャラもギミックも問題ない、発売レベルにある作品。オチも余韻が残って綺麗。あらすじで考えると、本作はレインの話で始まり、シャインの話で終わるが、最後から考えて、レインがアンドロイドであるため主人公にすると話がおかしくなりそうなので、最初からシャイン視点に変えるべきだろう。

被子植物へのアルゴリズム / 上京ひさし(かみぎょうひさし)

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選評
2000年代の蜂ロボット開発記から幕を開ける穏やかな日常に、15世紀のばら戦争や20世紀のスエズ動乱の運命が絡み合う、複雑さと壮大さを感じさせる物語。しかしそれぞれのパートが長く、関連性が明かされないまま進行するので、読みながら若干ストレスを感じた。各パートを短く編集して謎を深めたり、関連するモチーフなどを繋げたりして読書インセンティヴを高める工夫が必要だ。

覆面ゾンビ / ジェイソン・クストリッツァ

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選評
シリーズ化できそうな作品。主人公・雪村要は悪魔三兄弟の次男で、長兄の昴を探していた。昴は、巷を騒がせている連続殺人犯で、また別の登場人物にも因縁関係があり、必ず遭わなければならない存在で … … と、続きが気になる終り方。暴力的で性的な描写が多いと感じたが、読めば読むほど引き込まれてしまう魅力がある作品である。
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